COLUMN
2026.09.09 誘導標識

誘導標識とは?種類・消防法の設置基準・誘導灯との違いをメーカーが解説

建物の避難計画を考えるとき、「誘導標識と誘導灯はどう違うのか」「どこに、どの種類を設置すればよいのか」と迷う方は少なくありません。

誘導標識とは、火災などの緊急時に、避難口の位置や避難する方向を示す標識です。電気で点灯する照明器具の「誘導灯」とは、消防法上も仕組みも異なります。

誘導標識には光らないタイプのほか、周囲の光を蓄えて暗所で発光する蓄光式誘導標識があります。蓄光式は電源や配線を必要としませんが、時間の経過とともに明るさが低下するため、製品の性能と設置場所の照明環境を確認することが重要です。

この記事では、蓄光式誘導標識のメーカーである当社が、誘導標識の種類、消防法上の設置基準、誘導灯との違い、高輝度蓄光式を選ぶ際の注意点をわかりやすく解説します。

誘導標識とは?

誘導標識は、避難口であること、または避難する方向を示し、火災時の安全で速やかな避難を助ける標識です。避難する人から見やすく、避難上有効な位置に設けます。

暗所で発光する高輝度蓄光式誘導標識

蓄光式誘導標識は、太陽光や照明の光を蓄え、停電や消灯によって周囲が暗くなったときに発光します。内蔵光源、電源、配線を使わないことが特長です。

POINT
誘導標識は避難口や避難方向を示す「標識」です。蓄光式は周囲の光を蓄えて発光しますが、十分な性能を得るには、設置場所の照明の種類・明るさと製品性能の組み合わせを確認する必要があります。

誘導標識の種類は2つ

消防庁のガイドラインでは、誘導標識は設置場所と役割によって、主に避難口誘導標識と通路誘導標識に分けられます。

避難口誘導標識と通路誘導標識の種類

 

種類 役割・設置場所 表示の基本
避難口誘導標識 避難口に設け、出口の位置を示す 緑地に白色の避難口ピクトグラム
通路誘導標識 廊下、階段、通路などに設け、避難方向を示す 白地に緑色のピクトグラムや矢印

階段や傾斜路に設ける標識も、通路誘導標識に含まれます。また、光り方による分類では、光らない一般的な誘導標識、中輝度蓄光式誘導標識、高輝度蓄光式誘導標識などがあります。

誘導灯と誘導標識の違い

非常口誘導灯と誘導標識は、どちらも避難口や避難方向を示しますが、設備の仕組みが異なります。

比較項目 誘導灯 蓄光式誘導標識
設備の種類 電気で点灯する照明器具 光を蓄えて発光する標識
電源・配線 必要 不要
停電時 内蔵した非常電源で一定時間点灯 事前に蓄えた光で発光し、時間とともに暗くなる
設置工事 電気工事が必要 貼付け・固定が中心。
維持管理 点検、電池・光源・器具の交換など 点検、清掃、破損・劣化・照明環境の確認など

より詳しい比較は誘導灯と誘導標識の違いとは?消防法の設置義務・費用をメーカーが図解、費用については誘導灯と高輝度蓄光式誘導標識のコスト比較で解説しています。

消防法上の設置義務と免除

消防法に基づく誘導標識の設置基準イメージ

 

消防法施行令第26条では、同令別表第一の(一)項から(十六)項までに掲げる防火対象物に、誘導標識を設置することが原則とされています。

ただし、建物の用途、階、避難口の見通し、歩行距離などによる設置免除があります。また、基準に従って誘導灯を設置した場合は、その誘導灯の有効範囲内にある誘導標識を省略できる場合があります。

注意
誘導標識は、消防法令の対象となる防火対象物に原則として設置が必要です。ただし、誘導灯の有効範囲内や、一定の免除要件を満たす部分では省略できる場合があります。また、高輝度蓄光式誘導標識であっても、誘導灯を自由に置き換えられるわけではありません。設置・代替の可否は、建物や避難経路の条件によって異なるため、所轄消防署へ確認しましょう。

誘導標識の設置位置・間隔

消防庁の「誘導灯及び誘導標識に係る設置・維持ガイドライン」では、誘導標識の設置位置について、次のような考え方が示されています。

設置場所 設置の基本
避難口 避難口の上部またはその直近など、見やすく避難上有効な位置に設置
廊下・通路 各部分から一つの誘導標識までの歩行距離が7.5m以下となる位置と、曲がり角に設置
階段・傾斜路 特に避難方向を示す必要がある場所に設置

誘導標識の寸法

表示面の大きさは、原則として、正方形では一辺12cm以上、長方形では短辺10cm以上かつ面積300cm²以上とされています。

設置位置・間隔・寸法には例外や追加条件があるため、実際の設計では消防庁の設置・維持ガイドラインと所轄消防署の指示をご確認ください。

高輝度蓄光式誘導標識は誘導灯の代わりになる?

一定の条件を満たす場合は、高輝度蓄光式誘導標識を設けることで、避難口誘導灯を設置しなくてよいケースがあります。ただし、高輝度蓄光式であれば、どの誘導灯でもそのまま置き換えられるわけではありません。

たとえば、居室内から避難口を見通して識別できること、歩行距離が基準内であること、標識の性能を維持できる照明環境が確保されていることなどが条件になります。一方、大規模・高層建築物や地下施設などでは、高輝度蓄光式誘導標識を誘導灯の代替ではなく、避難誘導を補完する設備として設置する場合があります。

POINT
高輝度蓄光式誘導標識を「代替」として使えるか、「補完」として併設する必要があるかは、建物と設置場所の条件によって異なります。既存の誘導灯を自己判断で取り外さないでください。

中輝度・高輝度とS級・A級・B級・C級の違い

 

蓄光式誘導標識 4種類 暗所での発光イメージ

 

蓄光式誘導標識を選ぶときは、法令上の「中輝度・高輝度」という区分と、認定上の「S級・A級・B級・C級」を分けて考えると理解しやすくなります。

法令上の区分

区分 20分後の平均輝度 主な位置づけ
中輝度蓄光式誘導標識 24mcd/㎡以上100mcd/㎡未満 通常の誘導標識、自主的な安全対策など
高輝度蓄光式誘導標識 100mcd/㎡以上 一定条件下での誘導灯の代替や、誘導灯の補完など

上記の輝度は、JIS Z 8716の常用光源蛍光ランプD65により200lxの光を20分間照射し、その後20分経過した時点で測定する基準です。

S級・A級・B級・C級は認定上の性能区分

日本消防設備安全センターの認定では、励起照度と消灯後の輝度に基づき、S級・A級・B級・C級などの性能区分が定められています。

「S50級」「A200級」「C200級」のように、アルファベットと数字を組み合わせて表示され、この数字(50、200)は認定試験時の励起照度(lx)を表します。

ただし、この数値は実際の設置場所で必要となる照度を示すものではありません。実際に必要な照度は、製品の性能や照明の種類、設置目的、避難口までの歩行距離などの条件によって異なります。

各区分の基準値と当社製品の選び方は、高輝度蓄光式誘導標識とは?消防認定品 S級・A級・C級の違いと選び方で詳しく解説しています。

蓄光式誘導標識を選ぶときの4つの確認事項

1.設置目的を確認する

消防法に基づく設置、誘導灯の代替・補完、自主的な安全対策のどれに該当するかを確認します。目的によって必要な性能や手続きが異なります。

2.照明の種類と明るさを確認する

蛍光灯とLEDでは、同じ照度でも蓄光材の発光性能が異なる場合があります。特にLED照明下では、LED照明で測定した製品データを確認してください。

3.設置場所に合った表示を選ぶ

出口そのものを示す場所には「避難口誘導標識」、出口までの方向を案内する廊下や曲がり角には「通路誘導標識」を使用します。避難する人から見つけやすく、扉や柱、家具などで隠れない位置に設置できるかも確認しましょう。

4.認定・試験データと所轄消防署の判断を確認する

消防法対応を目的とする場合は、製品の認定書、附属書、試験データを確認します。誘導灯の代替・補完を計画するときは、設置前に所轄消防署へ相談してください。

エルティーアイの蓄光式誘導標識

当社では、設置目的と環境に応じた蓄光式誘導標識をご用意しています。

蓄光式誘導標識の導入事例

当社の蓄光式誘導標識は、コンビニエンスストア、ホテル、駅、公共施設などで採用されています。施設によって、誘導灯の代替、誘導灯の補完、自主防災対策など、導入目的は異なります。

また、津波・地震時の避難誘導対策として、自治体での導入実績もあります。施設名、設置目的、施工内容は採用実例ページでご覧いただけます。

誘導標識に関するよくある質問

誘導標識と誘導灯は何が違いますか?

誘導灯は、電源によって点灯する照明器具で、停電時には非常電源で一定時間点灯します。誘導標識は避難口や避難方向を示す標識です。蓄光式誘導標識は電源を使わず、周囲から蓄えた光で発光します。

誘導標識に消防法上の設置義務はありますか?

消防法施行令第26条では、同令別表第一の(一)項から(十六)項までに掲げる防火対象物への設置が原則です。ただし、建物や階の条件による免除があり、誘導灯の有効範囲内では誘導標識を省略できる場合もあります。

誘導標識は何m間隔で設置しますか?

廊下や通路の通路誘導標識は、原則として、各部分から一つの標識までの歩行距離が7.5m以下となる位置と曲がり角に設置します。階段などでは別の考え方があるため、実際の配置は所轄消防署へご確認ください。

誘導標識の大きさに決まりはありますか?

原則として、正方形は一辺12cm以上、長方形は短辺10cm以上かつ面積300cm²以上です。

蓄光式誘導標識は誘導灯の代わりになりますか?

一定の条件を満たす高輝度蓄光式誘導標識は、避難口誘導灯を設けなくてよいケースで使用できます。ただし、すべての建物・場所で代替できるわけではなく、誘導灯との併設が必要な場合もあります。既存の誘導灯を自己判断で取り外さず、所轄消防署へご相談ください。

LED照明の場所でも使えますか?

使用できますが、LEDは蛍光灯と光の特性が異なります。同じ照度でも蓄光後の明るさが変わる場合があるため、LED照明で測定した試験データを確認することが重要です。

まとめ
  • 誘導標識は避難口や避難方向を示す標識:避難口誘導標識と通路誘導標識に分けられる
  • 誘導灯とは仕組みが異なる:誘導灯は電気で点灯し、蓄光式誘導標識は蓄えた光で発光する
  • 設置位置・間隔・寸法に基準がある:通路では原則7.5m以下の歩行距離となる位置と曲がり角に設置する
  • 高輝度蓄光式でも代替できる条件は限定される:建物と設置場所ごとに所轄消防署への確認が必要
  • LED照明下では試験データを確認:照度だけでなく照明の種類と製品性能の組み合わせが重要

設置場所や消防法への対応でお悩みの場合は、蓄光式誘導標識のメーカーである当社へご相談ください。設置目的、現場照度、照明の種類などを確認し、適した製品と仕様をご案内します。

参考資料

 

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